英語で「手袋を投げる」といえば、それは「決闘を申し込む」という意味になります。昔の紳士はそうやって決闘を申し込む習慣があったからです。結局のところ手袋を持っていないと、紳士にはなれないということになります。今でもモーニング・コートを着ると、季節に関係なく手袋を持だされるのは、そのような理由からなのです。では、どんな手袋が理想とされるのか。判断するためには、お札を数えてみなさい、といわれています。つまり、手袋をはめた手で、間違いなくお札を数えられるようなら、良い手袋である、と。たとえば世間ではペッカリー(猪に似た動物の革)が上質の手袋である、と考えられています。これは伸縮性があって手によくフィットするからです。ただし実際の使い方としてはカジュアルな服装に向く手袋で、正装のときには使いません。正装にはシャモア(カモシカの革)、キッド(仔山羊の革)、ビッグスキン(豚革)などの手袋が適しています。色としては白、淡いグレー、フアーン(淡いページこなど。手にぴったりと合った、美しい革の手袋をはめてみたい。でも、手袋はわりあい忘れやすいのですね。昔はたいてい脱いだ手袋は帽子のヤマのくぼみに入れておいた。帽子を脱ぐときには手袋も脱いだからです。これなら帽子を忘れなければ、手袋を忘れることもなかったわけです。では、帽子をかぶらないとき、どうするか。コートの内ポケットに入れる習慣をつける。もしコートを着ないときには上着の内ポケ。トに入れる。これをひとつの癖にしてしまえば、手袋を落としたり、忘れたりすることは少なくなるでしょう。もちろん時と場合によって、コートや上着の胸ポケットを利用して、まるでポケッチラのようにあしらう方法もあります。
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