保守主義の住宅システムは経済成長に依存する。経済の拡大が中間層を増やし、中間層か持家取得に向かって「梯子」を登り、そして社会の「流れ」が安定するというパターンの設定が追求された。しかし、経済成長の減速にともない、重要性を増すのは、「成長」に依存しない「分配」のメカニズムの形成である。中間層の持家取得を優先させる住宅システムは、社会的不平等を拡大する。高度成長期の日本が高い平等性を有していたという見方がある。
[参考]
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この見方は錯覚に由来する。経済のめざましい成長を背景として、多数の人たちが社会の「流れ」に参加し、住まいの「梯子」を登ったことから、不平等に対する意識が潜在していただけである。二〇世紀の末から経済は停滞したままで推移し、高い成長率が再現するとは考えられていない。社会の「流れ」が不明瞭化し、「梯子」が揺らぐにつれて、不平等の程度と可視性は必然的に増大する。経済さえ成長すれば、その果実が人びとの暮らしの改善に寄与するという仮説がある。しかし、経済の調子は上向いたり、落ち込んだりする。必要な仕事は、景気動向に一喜一憂するのではなく、「成長」依存から自立した住宅システムを構築し、その制度設計の焦点を「分配」に移すことである。