事実経過としては、このメイヨー・クリニックの研究は、発行日のおよそ2ヵ月前の4月14日に受理され、通常の方法でスケジュールに組み入れられた。ダウ・コーニングは、アメリカ形成外科及び再建外科医学会の教育部門に寄付をしており、ついでその部門がこの豊胸材の研究に対しメイヨー・クリニックに助成金を与えた。形成外科医の学会から受けた助成金はこの研究の資金のほんの一部であり、ほとんどは国立保健研究所(NationalInstitutesofHealth)(以下NIH)からとメイヨー・クリニック自身のものだった。この研究の資金源は、慣例としてNEJM誌には正式に開示されていたが、ダウ・コーニングがアメリカ形成外科及び再建外科医学会に寄付していたという事実は開示されていなかった。しかし助成金の条件によって、豊胸材の研究にダウ・コーニングから影響が及ぶことは防がれていた。学会からの助成金は、この研究が計画され、着手された後に与えられたことを私は後日確認している。研究が完了するまでは、形成外科医の教育基金の側も(そしてもちろんダウ・コーニングも)研究結果を知る手段はないという条件付きで、メイヨー・クリニックはその助成金を受け取った。彼らはまた、その研究が公表されるかどうか、どこに公表されるかについても口出しできなかった。(このことはきちんとした研究機関が産業界から助成金を受ける時の標準的慣行である)。しかし、原告弁護士達は、この問題で自分達が受け取る明白な経済的利益を棚に上げて、形成外科医から助成金を受けることでこの研究の価値はなくなると主張した。この論文の出版スケジュールが組まれた時、私も、私以外の編集者も集団訴訟の和解についてまだ聞いていなかったし、離脱条項については言うまでもなかった。確かに私達は、研究が相当に世間の注目を浴びるだろうとは気がついていた。それを予想して、論文を執筆した研究者達にファクスし、こう尋ねた。豊胸材については世間に強い関心があることですので、メディアに直ちに研究成果を広めることを希望されますか、と。これは例外的措置で、いつもはNEJMの方針として、フル・ペーパーの論文が発表されるまで研究のことで取材記者とは接触しないように著者にお願いするのが普通だ。すぐに研究の筆頭著者であるガブリェルは返事をしてきて、彼女は発刊日まで待つ方を選んだ。単に方法論はそれだけだったので、編集部は発行日より前のメディア発表を行わず、結果的に、最後の瞬間にパニックが起きた。
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