幼児と担任の共同解釈によって形づくられている

2011.06.21

さくら保育園(仮名)の4歳児クラスでも、オモチャを仲良く順番に使うことが期待されており、子ども同士がことばで交渉してオモチャの貸し借りをすることが「正しいやり方」だとみなされていた。大毅(仮名)の入所時点で、4歳児クラスの子どもたちがスムーズにオモチャを順番に使用できたのは、「自他の要求を調整してオモチャを仲良く順番に使うことが正しいことだ」という保育士に共有されている規範が、それまでの相互作用をとおして子どもたちに伝達され、子ども自身の行動を枠づける規範として機能していたからである。「オモチャを順番に使えないのは望ましくないこと。大毅(仮名)にそれができないのは、一人っ子でわがままな性格だから」という担任の認識は、オモチャ使用における保育士−幼児関係の目本と中国の違いとそれにともなう幼児の経験の差異が、幼児(大毅(仮名))の個人の能力に還元されて理解されていることを如実に映し出している。大毅(仮名)が「日本語がわからない子」から「わがままな子」へと変わっていく過程は、担任と日本人幼児との間に「オモチャを貸せないこと=わがまま」という文化的知識が共有されている関係のなかで形づくられていることがわかる。すなわち、大毅(仮名)と接触の多い幼児による解釈、担任による解釈、そして、幼児と担任の共同解釈によって形づくられているのである。

[おすすめサイトのご紹介]
保育士専門学校
http://www.seitoku.jp/kttcsu/